アトリエ・ダンタンの服づくりは、
考え抜かれた工程の積み重ねによって成り立っています。
パターンや縫製だけでなく、どの素材をどうつかうか、
また、随所に職人の手を介した工程が含まれています。
今回はその中のひとつ、
ワックスドコットンフードジャケット「Buffon(ビュフォン)」について
ご紹介させていただきます。
一着の中に重ねられた職人のひと手間が、
アトリエ・ダンタンの服を唯一無二の存在として
感じさせる理由のひとつです。
ボタンへのこだわり
Buffonに採用されたのが、ワックスドコットン生地の立体感を最大限活かすために考えられた、「組みボタン」と名付けられた新しいボタンです。
このボタンは、アトリエ・ダンタンのコアシリーズの「アトリエライン」で使用されている力織機で織られた生地を細く裁断し、アトリエの職人がひとつひとつ編み上げてつくられています。
熱やプレスによって成形するのではなく、布そのものの反発や厚みを見極めながら、編み込むことで立体をつくっていく工程です。
また、ボタンとボタンとの間隔も重要なポイントです。
ボタンホールに対して同一間隔で作るのではなく、あえて少しタイトに配置することで、わずかな引きが生まれ、生地にふんわりとした遊びが生まれます。
すべての工程に理由があり、着る人のことを想い仕立てられています。
このボタンは、取り外しが可能です。
ボタンにも、服づくりと同じ視点で向き合い、アトリエでひとつひとつ仕上げています。
ワックスドコットンという素材
Buffonに使われているのは、スコットランドで伝統的に作られているワックスドコットン生地。
仕立てられたその時が完成ではなく、着る人の時間や動きによって少しずつ表情を深めていく、そんな素材です。
ワックスドコットン生地はその名の通り、生地にワックスを染み込ませることで、寒いときには防風性を、暖かいときには通気性を発揮し、
寒暖差の大きい季節に適した機能性を備えています。
それでいて、コットン特有の柔らかさと天然素材ならではの風合いを感じられ、
軽やかで快適な着心地が続きます。
着用を重ねることでシワやアタリが生まれ、時間の経過とともに風合いが増していくのも、この素材ならではの魅力。
例えばオリーブカラーは、アタリが白く抜けるのではなく、使い込むほどに色が深まり、奥行きのある表情へと変化していきます。
はじめて着たときよりも、何度も袖を通した先にこそ完成へと近づいていく。
ヴィンテージを育てるような感覚で、長く付き合いたくなる素材です。
考え抜かれたパターン
パターンは、アトリエ・ダンタンらしい丸みを帯びたデザイン。
身体をやさしく包み込むような立体感があり、直線的すぎず、かといって甘さに寄りすぎない、絶妙なバランスに仕上げられています。
ワックスドコットンの程よいハリと相まって、羽織った瞬間に自然な立体感が生まれ、シルエットが美しく整います。首元までしっかりと覆うフードは、丸みのある端正なフォルム。
ドローコードを絞って小さくするとまた違った表情に。
アーム部分にも丸みを持たせ、動きやすさと柔らかな印象を両立。
裾にはドローコードを配し、インナーやボトムスに合わせて
シルエットの調整が可能です。
ポケットはシームポケット仕様で、
カジュアルになりすぎず、落ち着いた佇まいに。
また、全体はゆったりしたオーバーシルエットのため、
ニットやボリュームのあるトップスの上からでも羽織りやすいアウターです。
考え抜かれたパターンと丁寧な仕立てが、
着る人の動きに寄り添いながら、美しいシルエットを形づくります。
色がつくる表情
Natural
くしゃっと畳んでバッグに入れても、シワが気になりにくいのもこの素材の特性です。
ついたシワさえも表情のひとつとして馴染むため、
移動の多い日や、季節の変わり目の羽織として、気負わずにお使いいただけます。
Olive
裾のドローコードを絞れば、ショート丈のようなバランスになり、
ふわっと丸みのあるシルエットに。
着方によって、さまざまな表情をお愉しみいただけます。
Khaki
ワンピースに合わせる際は、裾のドローコードを軽く絞ることで、ふんわりとした丸みが生まれ、
装いにたおやかな印象と立体感を添えてくれます。
お手入れについて
ワックスドコットンは、一般的な衣類のように頻繁なお洗濯を前提とした素材ではありません。
砂埃などの軽い汚れは、さっとブラシで払う程度で十分ですし、
染み込んだ汚れも、水を含ませたスポンジやタオルで軽く叩くように拭き取ることで対応できます。
スチームアイロンは避け、高温にはあまり向かないため、110℃以下の温度のアイロンをあてて整えてください。
とはいえ、特別に神経質になる必要はなく、必要に応じて手洗いコースでの水洗いも可能です。
ワックスは多少落ちますが、柔らかさや、ハリのある立体感が大きく変わることはありません。
少しずつ手をかけながら、気負わず付き合っていくことで、
素材の経年変化とともに、風合いが深まり、永く着続けていただけます。
手仕事と選び抜かれた素材がつくる時間
組みボタン、素材選び、パターン、仕立て。
Buffonの細部には、アトリエで重ねられてきた手仕事が、そのまま映し出されています。
目立つための仕様ではなく、着る人が日々の中で、心地よく袖を通し続けられるように考え抜かれたもの。
ワックスドコットンという「着続けることで育つ素材」と、人の手でしか成り立たない工程とが重なり合い、この服ならではの印象をつくっています。
完成度だけで語られる服ではなく、着る人の時間や動きによって、少しずつ表情を深めていく一着。
その変化さえも楽しみながら、自然と手に取る回数が増えていくはずです。
アトリエ・ダンタンの手仕事と、ワックスドコットンの魅力が重なった〈 Buffon 〉。
日常の中で着続けるほどに、その良さを実感していただけるアウターです。